子どもとの時間を楽しもう!

子どもとの時間を楽しもう!

危険な遊びは子どもを育てる!?

危険な遊びはしてはいけない?

 

カワイイわが子を大切にするあまり、汚れないように、泣かないように、ケガしないように接している親をみることが少なくありません。

 

公園にいくと、わりとよく耳にする言葉があります。「危ないよ!」「○○したらダメよ!

「ケガしたらどうするの!」「そっちにいったらダメ!」など大きな声で言ったり手をつかんだりして子どもを危険から守ろうと必死です。

 

大切なわが子を守りたいという親心なのでしょうが、危険から全て遠ざけようとする行為は、子どもの行動を制限しているということです。

 

極論ですが、いきすぎた危険回避は、子どもの行動や欲求を大きく制限することにつながり、魚を水槽に入れておく、虫を虫かごに入れておくといった飼い慣らし状態にしてしまいます。

 

幼い子どもを守るのは親の責務だ!危険からカワイイ子どもを守るのは当たり前だ!という声がきこえてきそうですが、本当に危険はダメなのでしょうか?

 

 

むしろ危険なことを

させなければいけない

 

こんなことを言っておいてなんですが、カワイイわが子が危険な行動をし、もしかしたらケガをするかも、泣いてしまうかもしれないといった状況に、大きな不安を抱く気持ちは本当によく分かります。

 

実は私も、子どもの安全を1番に考え危険から遠ざけようと行動していた時がありました。しかし、子どもの発達や気持ちを理解していくうちに、安全だけでは子どもは育たないということが分かってきました。

 

危険な目に合わせてしまうことで、恐れやすい性格、怖がりになってしまうんじゃないか?という不安を抱かれる方もいるかもしれませんが、ちょっとこわい思いをしたというぐらいならば、最終的に克服できれば怖がりになることはありません。

 

情動記憶といって、睡眠をとることによってそういった経験を学びとして記憶します。例えば、鉄棒に、チャレンジしてうっかり落ちるなどで痛い思いをし泣いてしまったので、その活動をやめてそのまま帰宅した。となれば次回から鉄棒を嫌がる可能性はありますが、痛い思いをしても、すぐ、もしくはしばらくして落ち着いてからまた遊ぶことで、危険なものとして記憶されることはなくなり、その活動を嫌がる可能性は低くなります。

 

危険な経験が必要といっても、もちろん限度はあります。高いところからの転落、突起物や刃物を扱うといった明らかに大きなケガにつながるかもといった場合は、傍で見守る必要があります。傍で見守れない状態ならば、危険なものを取り除く配慮も時には必要です。

 

ここで伝えたいことは、小さなケガにつながるようなことなどを制止したり、危険なことでも傍で見守っておいてあげれば済むことなのに、チャレンジさせないといった関わりは、子どもにとってよくないということです。

 

 

危険な経験が必要な理由

 

とある保育所で実際にあった話しです。子どもの安全をと意識しずぎてしまったため、子どもを制止する言葉がけが、必要以上に蔓延してしまったことを反省した先生方が、できるだけ見守りながら子どもの行動を尊重し、危険を伴う遊びができるよう環境を大きく改善しました。

 

その結果

・気づけば、2年間にわたって医者にかからな

    ければいけない大きなケガがゼロになった。

・身体能力測定では、格段の成長がみられた。

・自分のレベルにあった遊びを選択できるよう

    になり、逆に行動を制限するような関わりや

 言葉がけが減った。

など、子どもの姿に大きな変化がみられたそうです。

 

ここの変化は、個人的にはめちゃくちゃ重要だと思っています。小さなケガをたくさん経験するからケガにつながることを想定できるようになり、大きなケガをしなくなるのです。ある程度自由に行動さしてもらえるから、自分のレベルに合った遊びかそうでないかが分かるのです。

 

皆さん大半の方は、大きなケガをしてほしくないから、危険から子どもを遠ざけているのだと思います。しかし、実は逆なんです。

 

小さなケガにつながるような危険な遊びや行動も認めてあげることで、大きなケガをする確率はグッと減るため、皆さんの不安もきっと解消されていきます。

 

昔はよかった、なんて議論をするつもりはありませんが、危険な遊びは、昔はたくさん保障されていました。危険な遊びだからやめなさいという価値観がなかったのか、大人の目の届かないところで危険な遊びをする環境があったのかなどいろいろな理由が考えられますが、たくさん経験できていたのは事実です。

 

しかし、時代や大人の価値観の変化で、危険な遊びが段々とできなくなってしまいました。とあるデータでは、80年代頃から子どもが危険な遊びをする環境が減り、そういった姿が減少したとあります。実は、この頃から子どものイジメが増加しており、その関係性が大きく影響しているともされています。(中心部の地域データ)

 

イジメについて、印象的な話しがあります。魚博士として有名なさかなくんは、皆さんもご存知の方が多いと思いますが、そのさかなくんの話しを、テレビで紹介されていました。

 

とある魚は、海の中で仲良く群れて泳いでいても、せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃を始めるそうです。けがをしてかわいそうなので、そのさかなを別の水槽に移しても、残った魚たちは別の1匹をまたいじめ始めます。また、イジメをする魚を移しても、同じようにいじめをする魚があらわれます。

 

という内容ですが、危険な遊びを制限することは、この話しのように、魚を小さな水槽に入れることと同じように思えるのです。

 

全て自由にとは言いませんが、好奇心旺盛で様々なことに興味を持つ子どもたちから、大きく行動を制限することが、良い子育てにつながるとは思えないのです。

 

 

危険を回避していては

子どもは育たない

 

臨床育児、保育研究所代表である汐見(しおみ)先生が言われていた話しで、子どもが昔から変わらずしてきた遊びの中で、穴を掘るとか高いところから飛ぶといった姿が必ずみられるそうです。

 

私自身も、子ども時代を振り返ると思い当たることしかなく「あー確かに‥」と納得しかなく印象的でしたが、どうやらその行動は、したいからするという脳の感覚で、いわゆる本能といったDNAレベルの話しです。

 

男性と女性では遊びの内容も大きく違うため、もしかしたら女性の方は共感できないところもあるかもしれませんが、男の子を育てている、もしくは育てることになるかもしれないので、知っておいた方が後々お子さんの行動を理解してあげられると思います。

 

女性でいう、ままごと的な遊びが好きな傾向にあるのと同じことだと思います。そういう自然とやりたがる遊びは、十分経験できるようにしてあげることが大切であると思います。

 

先程も話しましたが、何も昔にように戻ってどうこうというつもりはないです。ただ、危険な遊びは自然なことであって、むしろ成長していく上で欠かせない経験値であることは少なからず理解していただけたのではないでしょうか?

 

プロゴルファーの横峯(よこみね)さくらさんの叔父(おじ)である方が幼稚園を経営されており、ヨコミネ式といった独自の教育法でテレビで紹介されたこともある有名な方がいます。その幼稚園では、川への飛び込みや逆立ち、子ども用にルール変更されたレスリングなど色々な遊びを経験できるようにされていましたが、その方がされていた印象的な話しがあります。

 

昔は危険な遊びをたくさん経験していた。ケンカもよくしたし体をぶつけ合う遊びも山ほどしてきた。しかし、いまはそんなことをすれば、すぐクレームや大きな問題としてあげられる。そういったことも大切な経験であるのに、ただだからといって危険な遊びをさせないのではなく、代わりとなる遊びを工夫して提供してあげるのが、大人の役目だと言われていました。

 

危険な遊びがどうしても難しい場合は、そういった代替え案もありだと思います。

子どもの安全を思うあまり、必要以上の行動制限は、自然な欲求や成長を妨げる危険があります。

 

成長したい、昨日できなかったことは今日できるようになりたいといった潜在的な欲求が子ども(人間)にはあります。危険な遊びも経験させてあげることで、その成長や欲求は大きくのび満たされることになります。

 

大切なことは、関心を持ったことを考えたり、興味を持ったことを行動したりすること。つまり子どもが主体的に挑戦できること(世界)をみつけることが、子どもの本質的な成長や幸せにつながっていくと思います。

 

少しでもこの情報が、お子さんの健やかな成長と幸せにつながることにお役に立てれば幸いです。

 

最後までみてくださってありがとうございました(^-^)